コラム|古いシステム

作った人がいない古い業務システム(Access・Excelマクロ)。止まる前にできる5つの手順

公開:2026-11-03 更新:2026-11-03 文:渡部 秀雄(DXプランニング代表)

参考に比較:米国・韓国・英国

作った人が社内にいない業務システムは、料金の改定やサポート終了のときに、直す人がいないまま止まるおそれがあります。IPAの定義と米国・英国・韓国の事例をもとに、止まる前に確かめる5つの手順と確認表をまとめます。

? 中身が分からない 資料 調べて資料に 改修する修正・機能追加 また使える 修正・復旧から、改修・移行まで対応

作った人が社内にいない業務システムを使っている、総務・事務担当と経営者に向けた記事です。Access・Excelのマクロ(作業を自動で行う記録)・古いサーバーなどで、誰が直すかが決まっていない。その困りごとに、止まる前に確かめる5つの手順で答えます。

例えば、月末の請求書の発送に使う社内の仕組みに、郵便料金の「110円」が直接書き込まれているとします。2026年6月に公布された改正郵便法で、定形郵便の上限料金は、日本郵便が申請して総務大臣が認可する方式に変わります。10月30日には、そのための改正省令と審査基準が公布・公表されました。

料金表が変わったとき、その数字を誰が直すのか。IPA(情報処理推進機構)の解説では、ユーザー企業の61%、10社のうち6社ほどがレガシーシステム(古くなって手を入れられなくなったシステム)を持っています。この記事では、作った人がいないシステムが止まる前に確かめる手順を紹介します。

この記事の要点
  • レガシーかどうかは、年数ではなく「直したくても直せない状態」かどうかで決まります(IPA)。
  • 製品の期限や料金の変更は、自社の都合と関係なく外から来ます。Office LTSC 2021(長く使える買い切り型のOffice)は2026年10月13日に終わり、定形郵便の上限料金は認可の方式に変わります。
  • 止まる前に、一覧と期限、止まると困る3つの選定、中身の書き出し、止まったときの備え、直すか替えるかの判断、の5つの手順で進めます。
  • 米国の連邦政府では、IT支出の約8割が今あるシステムの運用・保守に使われています。中小企業は、止まると困る順に3つから始められます。

問題は古さではなく「直せないこと」

結論から書きます。古いシステムで困るのは、古さそのものより、仕様(何をどう処理するかの決まり)を分かる人がいないことです。止まる前にできるのは、中身を書き出して、直せる状態に戻すことです。

止まる前にできる5つの手順一覧と期限を確認し、止まると困る3つを選び、中身を書き出し、止まったときに備えたうえで、直すか替えるかを判断します。中身を書き出して、直せる状態に戻す止まる前にできる5つの手順手順1一覧と期限手順2困る3つの選定手順3中身の書き出し手順4止まったとき手順5直すか替えるか出所:IPA DX SQUARE「レガシーシステムモダン化」、2025年
止まる前に進める5つの手順

IPAはレガシーシステムを、年数ではなく状態で定めています。「維持保守や機能改良を行いたくても行えなくなってしまった状態」です。メインフレーム(大型の汎用コンピューター)やCOBOL(古くからある事務処理向けの言語)でも、改良を続けられるなら「レガシーシステム扱いすべきではありません」としています(IPA DX SQUARE、2025年6月6日)。

保有率は大企業のほうが高いものの、中小企業にもあるとIPAは説明しています。長く使ったAccessでも、直せる人がいて修正できるなら、急ぐ対象とは限りません。逆に、作って数年の仕組みでも、誰も中を知らなければ直せない状態になりえます。

この記事で手に入るのは、次の5つの手順です。

手順やること減らせる心配
手順1 一覧と期限製品名・版・サポート終了日を1つの表にするいつ止まるか分からない
手順2 困る3つ止まると業務が回らない順に3つ選ぶ何から手を付けるか分からない
手順3 書き出し誰が・何を入れて何を出すかを1枚に書く作った人がいない
手順4 止まったときデータの別保管と、手作業の手順を決める止まったら業務ができない
手順5 直すか替えるか書き出しをもとに選び、照合して切り替える替え先を決められない

では、なぜ作った人がいなくなると直せなくなるのでしょうか。

作った人がいなくなると、なぜ直せないのか

IPAは、直せなくなる背景を、担当者個人ではなく構造の問題と見ています。IT人材はベンダー(システムを作る会社)側に偏り、ユーザー企業はベンダーに強く頼ってきました。受託開発という「低リスク・長期安定ビジネス(SIビジネス)」で個別のシステムが作られ続け、その多くがレガシーになりました(IPA DX SQUARE)。

流れは次の3段階です。

  1. 作り込んだシステムを、作った会社に任せ続ける
  2. 社内に、仕様が分かる人がいなくなる
  3. 直したい点があっても、改良できなくなる

分かれ目は、仕様を社内に戻せるかどうかです。IPAが勧める手順も、まず可視化と文書化(仕様の復元)から始まります。

外から来る変化:サポート終了

直せない状態でも、システムは外からの変化を受けます。Access LTSC 2021とOffice LTSC 2021は、2026年10月13日(米国時間)に終了しました。延長サポートはありません(Microsoft Learn・MC1509797)。

以前、「Access 2021のサポートが終了。古い社内データベースはどうする?」で、アプリは開けても新しい修正は出ないので、開けることと守られていることは別と書きました。具体的な対応はそちらにまとめています。

IBM i(IBMのサーバーで動くOS(基本ソフト))でも同じことが起きています。7.4は2026年9月30日にChange in Service Level(従来の標準サポート終了にあたる)を迎えました。有償のService Extensionを使えば2029年9月30日まで延ばせ、7.5・7.6の終了日は「少なくとも12か月前に告知」されます(IBM i release life cycle、2026年3月3日更新)。

外から来る変化:料金と制度

変わるのは製品の期限だけではありません。定形郵便の上限料金は、省令で決める方式(現行110円)から、日本郵便が申請して総務大臣が認可する方式に変わります。認可されるのは、料金が適正な原価を償い、適正な利潤を含む範囲にある場合に限られます(総務省)。

そのための改正省令と審査基準は、2026年10月30日に公布・公表されました(総務省)。料金や税率をシステムに直接書き込んでいると、変わるたびにその箇所を直す必要があります。直す人がいなければ、そこで止まります。

海外の政府も、同じ問題を数字で示しています。

米国・英国・韓国と比べる

直せないシステムを抱えているのは、日本の会社だけではありません。米国と英国の政府は、自分たちのシステムの状態を数字で公表しています。韓国では、1か所の火災で行政のシステムが一斉に止まったと報じられました。

日本と英国は「年数」ではなく「直せるか・支えがあるか」で定義し、米国は近代化の必要が高い順に選んでいます。

国・発表元定義・選び方規模の数字
日本(IPA)保守や改良をしたくてもできない状態ユーザー企業の61%が保有(10社のうち6社ほど)
米国(GAO)近代化の必要が最も高いものを選定69システムから11を選定。稼働23〜60年
英国(政府)メーカーのサポート切れ・更新できない・費用に見合わない中央省庁のシステムの28%(2024年。2023年は26%)

注:GAOは米国の政府説明責任局(議会の調査機関)。英国の定義には、EOL製品(メーカーが提供を終えた製品)が土台になっていること、許容できるリスクを超えることも含まれます。時期はIPAの解説が2025年6月、GAOの報告が2025年7月、英国の報告書が2025年1月。出所:IPA DX SQUARE、GAO-25-107795、UK State of digital government review

維持にかかる費用

米国の連邦政府はIT(情報技術)に年1,000億ドルを超える額を使い、その約80%が運用・保守です。10ドルのうち8ドルほどが、今あるものを動かし続けるために使われています。2019年の同じ調査(GAO-19-471)でも約80%でした。

英国では、DWP(雇用年金省)やNHS England(イングランドの国民保健サービス)が技術予算の70〜85%を維持に使っています。HMRC(歳入関税庁)では、COBOLの保守費が、今の技術で置き換えた場合の3〜4倍とされています。日本での同様の統計は確認できませんでした。

米国の11システムのうち、8つは古い言語で書かれ、4つはサポート切れのハード・ソフトの上で動いています。7つは既知の脆弱性(攻撃に使われうる弱点)を抱えたまま稼働しています。GAOによると、近代化を終えたのは10件のうち3件です(2025年2月時点)。

英国では、赤色評価(リスクが高いという評価)のレガシーのうち28%に、改修の資金がありません(表の28%とは別の数字です)。

韓国:止まったときに何が起きたか

報道によると、2025年9月26日、韓国・大田の国家情報資源管理院で火災が起きました。UPS(停電に備える電源装置)の電池を移す作業中でした。約647の行政・公共システムが止まり、10月4日時点で復旧したのは128(約2割)でした。

クラウド保存の「G-Drive」が焼失し、業務データが失われたと報じられています。災害に備えた復旧策があったのは、一部のシステムだけと指摘されました(AFPBB、Asia News Network、udn)。いずれも2025年10月前後の報道で、2026年11月時点の状況は確認できていません。

日本の中小企業にとっての意味

そのまま使えるのは、英国とIPAの定義です。「サポートは切れていないか」「更新できるか」「直せる人がいるか」を問えば、自社のシステムがレガシーかどうかを判定できます。年数や使っている技術で決めずに済みます。

一方、米国・英国の数字は政府の大きなシステムのもので、中小企業とは規模が違います。借りるのは考え方だけです。GAOの「必要の高い順に選ぶ」は、自社なら「止まると困る順に3つ」に縮めて使えます。

韓国の事例からは、止まる前にデータを別の場所に保管しておくことを学べます。止まったときに手作業でどう回すかを先に決めておくと、復旧までの間も業務を続けやすくなります。この考え方を、次の節で5つの手順に落とし込みます。

止まる前にできる5つの手順

手順は5つあります。いま出ている症状から、読む手順を選べます。

出ている症状読む手順
Office LTSC 2021のまま使っている手順1 一覧と期限
古い仕組みが多く、どれからか分からない手順2 困る3つの選定
前任者や作った業者がいない手順3 中身の書き出し
郵便料金や税率が変わるたびに慌てる手順3 中身の書き出し
止まったら紙で回せるか分からない手順4 止まったときの備え
替えるか直すか決められない手順5 直すか替えるか

手順 1一覧にして期限を書き込む

社内にどんな古い仕組みがあるか、全体が見えていないとき

古い仕組みを1つの表にまとめ、製品のサポート終了日を書き込みます。

対象は、Access・Excelのマクロ・古いサーバー・業務パッケージです。製品名・版・サポート終了日を並べて書きます。IPAが勧める手順の1つ目「可視化」にあたります。

日付は、メーカーの公式ページから写します。例えば次のとおりです。

  • Access LTSC 2021:2026年10月13日に終了済み
  • Office LTSC 2024:2029年10月9日(米国時間)に終了(Microsoft)
  • IBM i 7.4:有償の延長は2029年9月30日まで

新しい表を作る必要はありません。「ランサムウェアの入口はVPN機器。中小企業が今日確かめること」で勧めた台帳(メーカー・型番・版・確認日)に行を足せば、管理する場所が1つで済みます。この手順で、いつ止まるか分からないという心配が減ります。

手順 2止まると困る3つを選ぶ

古い仕組みがいくつもあり、どれから手を付けるか決められないとき

止まると業務が回らなくなる順に、3つだけ選びます。

前の節で見たとおり、米国GAOは69の連邦システムから、近代化の必要が特に高いものを選び出しました。この考え方を自社の規模に縮めます。請求・給与・受発注など、止まると困る順に3つを選びます。

判定には、英国政府とIPAの定義を使います。年数ではなく、次の3つで見ます。

  • メーカーのサポートが切れていないか
  • 更新や修正ができるか
  • 直せる人が社内か社外にいるか

長く使っていても、3つとも問題がなければ急ぐ対象ではありません。この手順で、何から手を付けるか分からないという心配が減ります。

手順 3中身を書き出す

作った人や前任者がいない、または料金・税率が変わるたびに慌てるとき

誰が・何のために・何を入れて何を出すかを、1枚に書き出します。

IPAの手順の2つ目「文書化」で、仕様を復元する作業にあたります。目的は、担当者が替わっても引き継げる状態にすることです。例えば請求書の仕組みなら「入れるのは受注の一覧、出すのは請求書と送付先の一覧」と書きます。

あわせて、料金や税率がシステムに直接書き込まれている場所を洗い出します。定形郵便の料金のように、外の都合で変わる数字がどこにあるかを書き留めます。

私なら、まずこの書き出しから始めます。直すか替えるか、誰に頼むかを決めるときに、どの判断もこの1枚が土台になるからです。この手順で、作った人がいないという心配が減ります。

手順 4止まったときの備えを決める

システムが止まったら、紙や手作業で業務を回せるか分からないとき

データを別の場所に保管し、止まったときの手作業の手順を先に決めます。

韓国の行政システムの火災では、災害復旧策があったのは一部のシステムだけだったと報じられました。規模は違っても、止まる前に備えを決めておくことは中小企業でも役立ちます。

まず、一番大事なデータを本番の機械や事業者の外にコピーします。次に、別PC(本番とは別のパソコン)に実際に戻して、件数と合計を照合します。戻し方は「クラウド事業者がランサムウェア被害に。EUの報告ルールと、自社のバックアップの確かめ方」と同じで、戻した日を台帳に書きます。

手作業の手順は、例えば「請求書は控えの一覧から手書きで出す」のように、誰が何を使うかまで書きます。この手順で、止まったら業務ができないという心配が減ります。

手順 5直すか替えるかを決める

直して使い続けるか、別の仕組みに替えるか決められないとき

手順3で書き出した資料をもとに、直すか替えるかを選びます。

IPAは、その先の進め方として次の3つを挙げています。

  • パッケージやSaaS(ネット経由で使うサービス)を基本にし、自社用に作り込む部分を分ける
  • ベンダーと一緒に工程表を作る
  • 経営層と共有し、続けて扱う経営課題にする

IPAは、パッケージ・SaaSを基本にする進め方を、中堅・中小企業では特に重要としています。ただし、独自の計算が多いAccessは、置き換えの手間がかさむことがあります。Accessについては、以前の記事のとおり、まず本体だけ替える道から考えます。つまずく点は「Accessの移行でつまずく6つの場所と手順」で確かめてください。

替えると決めたら、切り替える前に別PCで今の結果と照合します。帳票の数字が一致してから、本番を切り替えます。この手順で、替え先を決められないという心配が減ります。

自社の現在地を測る道具もあります。IPAのDX-IT推進指標(試作版)は、評価シート(Excel)とガイドブックを無料で使えます。意見募集は2027年3月31日までです(IPA)。

ここまでは自社の中の話でした。次は、同じ問題がほかの業務にどう広がるかを見ます。

ほかの業務への広がり

直せないシステムの問題は、情報システムの担当の中だけでは終わりません。料金の計算、基幹システム、データの活用へと広がります。

郵便・物流:料金表が変わり続ける

ゆうパック・ゆうパケットの運賃は2026年10月1日に改定され、ゆうパックは平均約10%の値上げでした。国際郵便も2027年2月1日に改定されます(日本郵便、2026年10月9日発表、LOGISTICS TODAY)。

定形郵便も、上限料金を認可で決める方式に変わります。送料の計算や請求書の仕組みは、料金表をプログラムの外(設定ファイルや表)に出しておくと、改定のたびの修正が小さくなります。

基幹システム:OSの期限

IBM i 7.4を使う基幹システムは、2026年9月30日にサポートの水準が下がりました。有償の延長は2029年9月30日までです。OSの期限は、その上で動く業務ソフトをいつまで使えるかを考えるときの区切りにもなります。

データの活用:効率化の先へ

IPAの「DX動向2026」(2026年7月16日公表、1,799社が回答)では、DXの成果は「データのデジタル化や業務の効率化など」が高く、「企業価値創出につながる内容」では低い状況に変化がないとされています(IPAプレスリリース)。古いシステムに閉じたデータは、効率化の先でデータを活かす段階で足かせになる可能性があります。直せる状態に戻しておくことは、その準備にもつながると考えます。

では、これからどんな変化が来るのでしょうか。

今後の展開

古いシステムを取り巻く変化は、これからも外から来ます。料金・制度・製品の期限は、どれも自社では時期を選べません。以下では、公表された予定(根拠)と、その上での見立てを分けて書きます。

半年以内(2027年春まで)

根拠:国際郵便の料金は、2027年2月1日に改定されます(日本郵便)。IPAは、DX推進指標に加える関連指標(DX-IT推進指標など。試作版)への意見を、2027年3月31日まで募集しています(IPA)。

見立て:自己診断の物差しが整うと、取引先から既存システムの状態を聞かれる場面が増える可能性があると見ています。

1〜2年

根拠:定形郵便の上限料金は、日本郵便が申請し、総務大臣が認可する方式に変わります。改正省令と審査基準は2026年10月30日に公布・公表されました(総務省)。IBM i 7.5・7.6の終了日は、少なくとも12か月前に告知されます(IBM)。

見立て:料金や期限の変化を、ほかの会社が決めた時期に受け止める場面が続くと見ています。告知が出てから中身を調べ始めると、直す時間が短くなります。

その先(2029年まで)

根拠:IBM i 7.4の有償延長は2029年9月30日に、Office LTSC 2024のサポートは2029年10月9日(米国時間)に終わります。米国GAOの報告では、近代化を終えたのは10件のうち3件でした(2025年2月時点)。議会への提言も、2026年2月時点で法律になっていません(GAO)。

見立て:大きな組織でも、置き換えには年単位の時間がかかっています。2029年に向けて中身の書き出しを先に終えておくと、判断の材料がそろいやすくなると考えます。

2つの道と、見ておく兆し

道前提起きること
A 選べる一覧と書き出しが先にある期限の前に、直すか替えるかを選べる
B 追われる一覧と書き出しがない改定や期限のたびに、その場しのぎの修正が続く

どちらに進んでいるかは、自社の一覧にサポート終了日がすべて入っているかで見分けられます。外の兆しとしては、次の4つを見ておくとよいでしょう。

  • 日本郵便が、定形郵便の料金の認可を申請したか
  • IPAの新しい指標の正式版が公表されたか
  • IBM i 7.5の終了日が告知されたか
  • Microsoftから、次のLTSC版のOfficeが発表されたか

中小企業にとっての意味は、次の2点です。2027年3月までに止まると困る3つの書き出しを終えておくと、新しい指標で自己診断するときの材料になります。2029年までに、直すか替えるかを決めておきます。どちらも、次の「今日からできること」から始められます。

今日からできること

  1. 社内の古い仕組みを一覧にし、製品名・版・サポート終了日を書く
    どうやって:Accessの版は「Access 2021のサポートが終了。古い社内データベースはどうする?」の手順で確かめます。日付は、MicrosoftとIBMのライフサイクルのページ(製品ごとのサポート期限を載せた公式ページ)から写します。
  2. 止まると困る3つに印を付ける
    どうやって:請求・給与・受発注などから、1日止まったら困る順に3つを選びます。
  3. その3つについて、誰が・何のために・何を入れて何を出すかを書き出す
    どうやって:1つにつき紙1枚に書きます。郵便料金や税率が直接書き込まれている場所も、分かる範囲でメモします。
  4. 一番大事なデータを1つ、別の場所にコピーする
    どうやって:外付けディスクや社内のNAS(社内の共有ディスク)にコピーします。止まったときに紙でどう回すかも、同じ紙に書いておきます。

明日の朝は、1番の一覧づくりから始めると、2〜4番の材料がそろいます。

そのまま使える古いシステムの確認表

止まると困る3つから順に、1行ずつ埋めます。

システムの名前製品・版と終了日誰が・何を入れて何を出すか止まったときの代わり
(記入例)請求書の発行(Access)Access LTSC 2021/2026年10月13日終了経理担当が受注一覧を入れ、請求書と送付先一覧を出す控えの一覧から手書きで請求書を出す
    
    

確認の4問

  1. メーカーのサポートは切れていないか
  2. 更新・修正ができるか
  3. 直せる人(社内か社外)がいるか
  4. 料金や税率を、プログラムを直さずに変えられるか

1〜3は英国政府とIPAの定義から、4は料金の改定への備えとして作ったものです。「いいえ」が付いた行から、手順3の書き出しを進めます。

よくある疑問

Q 古いAccessは、すぐ替えるべきですか

すぐ替えるとは限りません。IPAの定義では、直して使い続けられるならレガシーには当たりません。まず手順3で中身を書き出し、そのうえで決めます。2024版を選ぶなら、2029年10月までに、本体を替え続けるかデータを移すかを決めておきます。

Q 作った業者がもう無いときは、どうすればよいですか

まず、ファイルを日付つきで丸ごとコピーします。次に中身を書き出し、引き継げる相手を探します。費用には、デジタル化・AI導入補助金が使える場合があります。

申請は、登録された「IT導入支援事業者」と一緒に行う必要があります(中小企業庁)。移し替えの費用が対象になるかは、公式の公募要領で確かめてください。締切は「デジタル化・AI導入補助金7次と持続化補助金、12月の締切と申請の手順」にまとめています。

DXプランニングで受けられるサービス

古い業務システムの保守・改修では、この記事の手順3〜5を一緒に進められます。どこで何をしているかを調べ、構成図・処理の一覧・手順書にまとめる調査は30,000円〜で、その後に改修を依頼する場合は改修の代金に充当します。改修・機能追加・移行は調査のうえで見積もり、継続の保守はIT顧問(月2時間まで)として月20,000円で受けられます。

まとめ

問題は古さより、直せない状態です。止まる前に、一覧と期限、止まると困る3つの選定、中身の書き出し、止まったときの備え、直すか替えるかの判断の順で進めます。新しく作る前に、今あるものを活かせないか。そこから考えるのが、DXプランニングのやり方です。まずは確認表の1行目を埋めるところから始められます。

出典

この記事を書いた人渡部 秀雄(DXプランニング代表)。IT企業で、企業向けのデータ連携基盤の構築・検証、帳票づくりの自動化、ホームページのサーバー管理から更新までの運用に携わっています。IT担当がいない中小企業・団体の外部のIT担当として、相談から仕組みづくり、保守までを引き受けています。

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